2012ピンクリボンガールズゴルフイベントに参加して-ピルの上手な活用法-
深呼吸したくなる秋空が広がってきましたね、今年3回目となる恒例の’ピンクリボンガールズゴルフ’のチャリティーイベントで講演をさせていただきました
今回は健診の啓発だけでなく、スポーツをされる活動的な女性の皆さまへ「上手に女性ホルモンと付き合う方法」の一つとしてピルの様々な活用法をテーマに取り上げました
欧米、ヨーロッパ諸国でピルの普及は数10~50%近くにのぼります
日本では数%にすぎません、これは避妊薬のイメージが強いからかもしれません
日常生活をより快適に過ごす選択として「ピル」についてぜひ皆さまに知っていただきたいと思います
~ ピルの種類と適応について~
・・・内服に際しては婦人科で気軽に相談してみましょう
・主にホルモンの量で適応が分かれます
・「早発閉経」や「プレ更年期」などホルモンバランスを整える際にも使われます
第52回日本婦人科腫瘍学会に参加して-子宮頸がんの予防と健診の大切さ-
初夏から学会シーズン到来です。今回は「日本婦人科腫瘍学会」にて発表をしてきました。
発表内容は’子宮肉腫’という悪性腫瘍に著効した新しいワクチン療法についてです。
真夏日の中、各地から多くの医師が集まり、活発な討論がされました。
明日への診療に直結する新しい知見も得て有意義な時間を過ごしました
※女性に最もポピュラーな子宮頸がんについて、予防や健診について知っていますか?
~ 子宮頸がんの予防・健診~
・・・学会でのトピックスも少々。。
【基本的なこと】
◇20~30代の癌では第一位、近年急増している
◇子宮頸がんの約3%は妊娠中の健診で発見される
◇発がん性のHPV(ヒトパピローマウイルス)が原因
◇HPV感染を予防するワクチンがある
◇健診は子宮の入り口をこすって細胞をとるという簡単な検査で可能
【専門的なこと】
◇健診や治療後のフォローにもHPV検査を取り入れることが推奨される
◇前がん・初期子宮頸がんで子宮を温存した場合も長期に検診フォローが必要
◇閉経後の初期子宮頸がんは術式(子宮温存)について慎重な検討が必要
自治体の婦人科健診には子宮頸がん健診が含まれていますし、会社健診でも行うことが多いでしょう。とはいえまだ日本では健診率が低く、妊娠を契機に発見されることも少なくないのです。
もしまだ検査を受けたことがない方は、とても簡単な検査ですから一度受けてみましょう。また、健診の際にHPVチェックを加える(自費)、HPV予防ワクチンを接種することもお勧めです。10代の公費助成対象でなくても予防効果がありますので個別にかかりつけ婦人科医師に相談してみるといいでしょう。
予防ができる唯一の癌、女性の皆さまにぜひ知っておいて頂きたいです
出産時期の選び方-日本女性外科医会「女性外科医の子育て」に参加して-
立春をすぎても、まだまだ寒い毎日が続きますね。
花粉の飛散は例年より遅く少ないようですから、花粉症のかたには朗報でしょうか。
先日、日本女性外科医会の勉強会に参加してまいりました。最近では手術をバリバリこなす女性外科医も多くなりました。そのような背景から本会は女性外科医を様々な方面から支援する目的で発足した会なのだそうです。
また本会は文部科学省科研費補助をうけており、そのような研究活動をされてきた諸先生方に感銘をうける会でした。
— 今回のテーマは「女性外科医の子育て 私の場合」—
私は大学医局での経験から「産婦人科女性医師の大学医局復帰とスキルアップを考える-我が医局での試行錯誤から-」という内容で発表しました。
現在、産婦人科医師の女性比率は20~30代では7割近く、しかし40代になると現役女性医師数は激減します。中途リタイヤしてしまう女性医師が多いのです。これは他職種の皆さまと同様に出産・育児がおおきな要因です。
キャリアをつみながら出産・育児をしていくという環境整備が医療業界でも今や必至となっています。
研究会では外科医師というハードな業務、また留学やリサーチなどをこなしながらキャリアをつみ育児をしている、沢山の先生方の経験談~高齢妊娠、合併症妊娠、双子のお母さん、仕事との両立方法あれこれ・・・~を聞くことが出来、私自身も大きく勇気づけられました。
今回は産婦人科医としての視点もふまえて出産時期の選び方について私的にまとめてみました
◇卵子のアンチエイジング
「見た目」のアンチエイジングは可能ですが、残念ながら「卵子」はアンチエイジングができません。見た目が若々しくあっても身体の中の卵子のエイジングは逆らえないのです。
◇健康な卵巣を維持する
エイジングには逆らえない卵子ですが「健康な卵巣を維持すること」は妊娠有無にかかわらずとても大切です。子宮内膜症などの病気を早めに見つけ治療する、月経不順を放置しない、などといった対策をとることで「健康な卵巣を維持していく」ことはできます。そしていざ妊娠にむかうときの大前提となります。
また少数派ですが、エイジングする前に卵子を保存する、といった手段をとることも可能になりました。
◇妊娠するのによい時期は?
社会性や経済事情などを考えると20代半ば~30代前半と思います。
高齢妊娠は35歳以上をさしますが、これは染色体異常の割合とその検査(羊水検査)による流産の割合が逆転する年齢です。ですから、35歳以上の妊婦さんに羊水検査の実施を説明することになっています。実際、染色体異常が急増するのは40代以降です。
☆ちなみに、、、私の職種ではキャリアの問題もあり、研修時期(20代半ば:責任が少ないうちに産んでから頑張る派)と専門資格取得後(30代半ば以降:立場も経済的にも安定してから派)の2極化している傾向にあります。キャリア継続においては個々で大分差があるようです。☆
◇いつまで子供は産めるの?
受診者の皆さまからよく聞く質問の一つです。
妊娠する力、そして卵巣の重量は30代後半から急速に減少します。
実際、個人差がとても大きいのですが、最近ではキャリアを積んでから安心して妊娠を、という志向のかたも増えました。40代前半までは自然妊娠し正常分娩する方は少なくないです。
◇高齢妊娠について
どんな年齢層のかたにもリスクは伴いますが、あえて高齢妊娠にチャレンジする(もしそれ以前に妊娠する機会があるかたは)のは避けた方がよいでしょう。染色体異常の増加だけでなく、本人の身体へのリスク-妊娠・出産時の様々な合併症、育児にむかう体力など-が大きいからです。
出産時期の選び方、これは個人の自由です。
正しい認識があれば選択肢もひろがり、さらには自身の健康管理にもつながります。
「出産する、しない」ということは女性自身に選択権があると私は思っています。そして、迷っている方、進みたい方、どの世代の方も応援していきたいと思います。
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