妊活の心得(1)-胎内栄養環境に注意!-
日本では30年ほど前から低出生体重(2,500g以下)の赤ちゃんが増えています。
2008年では10人に1人が低出生児という統計が出ており、この割合はOECD加盟国(先進30ヵ国)の中でトップになります。日本の将来に不安を感じさせるデータと言えます。
~低出生体重児のリスク~
「受精周辺期、胎芽期、胎児期、乳児期に低栄養や過量栄養にさらされると成人病の素因が形成される」という説が提唱されました。その後には、出生体重が低いと「心疾患、糖尿病、高血圧、脳梗塞、脂質異常症、神経発達異常」といった病気のリスクになることが明らかとされてきました。
~妊娠中の体重管理~
妊娠中はホルモンバランスで太りやすくなります。妊娠前に肥満があって医師に注意をうけている場合は別として、やせ~ふつう体型の妊婦さんは、過度な体重管理はかえって赤ちゃんの将来のリスクにつながります。(糖質・脂質の摂りすぎには注意が必要ですが、低栄養にならないように気をつけましょう。妊娠を通して7~13kg増加くらいが良いと思います
女性の片頭痛(4)-世代別の治療法-
女性ホルモンの動きと関連する女性の頭痛、ホルモンの状態によって世代別に治療法が変わります。
~月経関連の片頭痛~
月経前緊張症(排卵後~生理前にかけて身体や気持ちの不調があらわれる)や月経開始時の頭痛には、ホルモンバランス
の波をなだらかにする「低用量ピル」がおすすめです。
低用量ピルは月経痛も軽くなるので鎮痛剤を使う量もぐっと減り、楽になりますよ
(当院でも処方しているピル☆)
~閉経前後の片頭痛~
女性ホルモンの急減する更年期世代の頭痛には、ホルモンを補う「ホルモン補充療法」で効果が期待できます。
~頭痛は子どもの頃から対策を!~
更年期世代を過ぎると血管が硬くなり、拡張しにくくなるため一般に片頭痛症状は落ち着きます。しかし脳に「悪いエネ
ルギー」がたまってしまい原因不明の「めまい・耳鳴り」など脳が過敏になる症状が出ることがあります。
これらの予防には子どもの頃から早めの頭痛対策が大切です。お子様のいらっしゃる方は注意してあげてくださいね。
女性の片頭痛(3)-更年期の頭痛と関連症状-
更年期障害の主な症状の中に「頭痛」が含まれます。女性ホルモン低下との関連によるものですが、その「頭痛」と関連する症状の中に更年期障害としてよくみられるものがあります。
~肩こり~
頭痛持ちのかたの75%が頭痛の前兆や最中に「肩や首のこり」を感じているといわれています。頭痛のメカニズムが「三叉神経」という肩から頭にかけての神経の興奮で起きることから、肩こりが頭痛の前兆として起きることも多いのです。(図☆)
~耳鳴り・めまい~
「耳鳴り・めまい」、原因がわからず更年期のホルモン治療を行っても改善しないかたがいらっしゃいます。そのような方は長年の「頭痛もち」だった方が少なくありません。若いころに頭痛治療が不十分だと、その後に原因不明の「耳鳴り・めまい」となってあらわれることがあります。
「肩こり・耳鳴り・めまい」症状のあるかた、頭痛はありませんでしたか?このような症状は頭痛治療と一緒に行うことで解決が期待できますよ
女性の片頭痛(2)-生理痛と頭痛は一緒?-
片頭痛に悩む女性へ質問したところ、生理数日前から生理中にかけて起こる頭痛を「生理痛の一種と思
う」というかたが8割もいるとのことです。
~生理痛と頭痛は分けて考える~
女性ホルモンの動きと片頭痛が関連することは確かです。生理は片頭痛の誘因の一つといえます。しかし、「生理だから頭痛も起
きやすくなるのはしょうがない」と頭痛をそのままにしておくと「脳に悪いエネルギー」がたまってしまうのです。
片頭痛のある方は、生理痛と分けて「頭痛の治療」を行うことが大切です。生理痛の鎮痛剤ではなく、頭痛専用
の薬(トリプタン製剤)を早めに使うことをお勧めします。
~痛みの原因を考えましょう~
生理痛が強い方は婦人科の診察で「子宮内膜症」「子宮筋腫」などの病気がないか、確認しましょう。片頭痛(頭痛)の
あるかたは「どんな時に頭痛になったか?」を意識して医師に相談しましょう。頭痛のきっかけがわかると、治療方法も
わかりやすくなりますよ
女性の片頭痛(1)-女性ホルモンとの関係-
頭痛に悩む方は少なくないでしょう。頭痛持ちの7割は女性といわれています。
女性の片頭痛には女性ホルモンの変動が関連するといわれています。
~女性ホルモンの減少時に注意!~
女性ホルモン(エストロゲン)の急な減少は頭痛が起きやすくなります。生理の周期でいうと「生理初日前後」、また「更年期」も女性ホルモンが急に減少するので頭痛が起こりやすくなります。(図☆)
~生理に関連した片頭痛~
1.発作の持続時間が長い
2.再発しやすい
3.重度の傾向
4.治療が難しい
などの傾向があります。
生理周期と体調のリズム、皆さまは何か思い当たることはありませんか?
更年期からの健康-骨粗しょう症の検査-
骨粗しょう症を健診の検査にとりいれている医療機関も増えました。骨粗しょう症は生活習慣病の一つです。特に女性は40代になったら定期的に検査をうけていきましょう
~骨粗しょう症の検査~
骨粗しょう症の検査は健診だけでなく、整形外科や婦人科などで受けることもできます。
レントゲンを使って骨の密度を調べる「骨密度検査」と同時に血液・尿検査による‘骨の新陳代謝’の状態を確認する「骨代謝検査」の両方を行うことが大切です。(☆図)
※骨代謝の状態が悪いと近い将来、骨密度が減ることが予測されます。
~ハマサイトの骨粗しょう症検査~
当院でも骨粗しょう症検査に力を入れています。健診・外来ともに「骨密度+骨代謝」のセット検査で管理をしています。(☆☆骨密度レポート)
更年期からの健康-骨粗しょう症と骨折(3)-
骨粗しょう症による骨折により死亡リスクが急増します。これは「寝たきり」の原因になるからです。
~骨折・転倒による「寝たきり」~
女性の「要介護」となる原因は、1位 脳卒中、2位 高齢による衰弱、そして3位に「骨折・転倒」
があげられます。(図☆)寝たきりになると、心肺機能の低下・認知症・消化機能低下・筋力低下・・などさまざまな弊
害が引き起こされます。
~転倒に注意!~
骨密度が低いとふとした転倒で骨折してしまいます。骨粗しょう症で骨折しやすい箇所は、手首・肩・腰(椎体)・太も
もの付け根(大腿骨)があげられます。(図☆☆)
転倒しない身体づくりとして大事なのは、散歩・ウォーキングなどを毎日の習慣に取り入れることです。意識して足腰の筋力を維
持しましょう
更年期からの健康-骨粗しょう症と骨折(2)-
~日本女性に多い椎体骨折~
背骨の骨は積み木のように重なっている「椎体」でできています。
椎体の骨折は「圧迫骨折」といって「積み木がつぶれる」イメージです。
年齢とともに知らぬうちに圧迫骨折となっていることも少なくありません。
「若いころより身長が縮んだ」というかたは注意が必要です。
※写真は閉経後の女性の椎体骨の変化を16年追ったものです(☆)
更年期からの健康-骨粗しょう症と骨折(1)-
骨粗しょう症と骨折、世界の疫学データをご紹介します。
癌などの悪性腫瘍よりも女性にとって身近な病気ということがわかりますね
~女性の骨粗しょう症と骨折~
(1)世界中で女性が生涯に骨粗しょう症により骨折を起こす確率は30~40%と推計される
(2)50歳以上のヨーロッパ女性の椎体骨折発症率は1年で1000人中11人である
(3)米国では800万人の女性が骨粗しょう症、2200万人が骨減少症※であると推定される
(※骨そしょう症の前段階の病気)
(4)日本人では50歳の女性が生涯に椎体骨折を起こす確率は37%と推計されている
更年期からの健康-女性ホルモンと骨(3)-
骨粗しょう症はなぜ怖いのか?それは骨折しやすくなるからです。
~骨粗しょう症による怖い骨折~
すべての骨折の中で特に怖いのが、「大腿骨(足の付け根)」と「椎体骨(背骨)」です。
これらの骨折後は死亡リスクが7-8倍になるといわれています。
~日本女性に多い椎体骨折~
日本女性は大腿骨よりも椎体骨の骨折を多く認めます。背中が丸いおばあちゃんは椎体骨折があると思ってください。(☆図)一方、欧米女性は大腿骨の骨折を多く認めます。
※骨粗しょう症になるとでる症状、☆☆図を参照にチェックしてみましょう
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