子宮頸がん予防ワクチン(3)-上手な子宮頸がん検診の受け方-
当院を訪れる方の中にはすでにワクチン接種が済んでいる方もいらっしゃいます。
しかし、接種が済んだら子宮頸がん癌検診しなくてよい、というわけではありません。
ワクチン接種の前にHPV感染があって子宮頸がんを発症してしまうこともあるのです。
~検診のタイミング~
性交経験の無い方
子宮頸がん検診をせずワクチン接種することは問題ありません。
ワクチン接種後に性交機会があったら1~2年以内には定期検診を受け始めましょう。
性交経験の有る方
子宮頸がん検診を行ってからワクチン接種をお勧めします。万が一、がん検診で異常が認められた場合でも(前がん状態で経過観察で可の場合)感染しているHPVタイプにより同時にワクチン接種することに意味があります。
~HPVチェックを合わせてより正確な検診を~
子宮頸がんの原因ウイルス「HPV」は子宮頸部の粘液から検査ができます。子宮頸がん検診と同時にできる簡単な検査です。
検診では自費のためやや高額ですが、HPV併用の検診で「偽陰性率=がんの見逃しがゼロ」となる、と認められています。最近では諸外国や日本でも検診に導入しよう、という動きが始まっています。
またHPV感染がなく検診結果が問題なければ、次の検診は2年後でOKですよ
子宮頸がん予防ワクチン(2)-自分は接種したほうがよい?接種のタイミングについて-
私は日々の診療で子宮頸がん検診も多く行っています。受診者の皆さまから「私は子宮頸がんの予防ワクチンをうっても
意味がありますか?」とよくご質問をいただきます
~接種のタイミング(1)~
公費助成の世代(現在日本では主に中学生~高校生)
一番予防効果が高いとされます。
~接種のタイミング(2)~
妊娠を考える世代の皆さま(45歳くらいまで)
公費助成の世代を過ぎると「私は接種しても意味がない」と思っている方が少なくありませんが予防効果はあります。特に
「これから妊娠したい」と考えている方は大事な子宮も守るためにもお勧めします。
~接種のタイミング(3)~
「子宮頸がん」や「子宮頸部異形成(前がん状態)」で子宮を残す治療をされた方
子宮を残すことが出来たら再発の予防にも接種する意味があります。ご自身の病状と一緒に主治医の先生に相談されるとよいでし
ょう。
子宮頸がん予防ワクチン(1)-正しい情報を得るためには?-
子宮頸がんの原因ウイルス「HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)」の感染を予防するのが、現在実施されている通称「子宮頸がん予防ワクチン」のことです。
日本に導入されて数年経ちますが、副作用など様々な取り上げがされてきて混乱してしまう方もいることでしょう。
~医師と相談し個別対応を~
公費助成の世代のかたは、お母様とご本人一緒に小児科もしくは婦人科医より説明をうけることを、その後の世代(~45歳くらいまでの方)は婦人科医から説明をきいてみましょう。マスコミやネット情報に流されない冷静な判断ができると思います。
~予防できる‘がん’として~
婦人科医として多くの子宮頸がんで苦しむ方々を診てきた私にとってこのワクチンの登場は何と画期的なことだろう、と感じました。‘受けておけばよかった’という方が増えないよう皆さまに正しい情報を伝えていきたいと思います
女性と便秘(4)-下剤の使い方-
下剤は種類も多く、効き方の違いから「自分にあったもの」をわかっていてリクエストされる方が多いです。長年わずらっている方の中には「多量服用」されていることもあり、注意が必要です。
~下剤を使う時間帯~
「一般に短時間で排便を促すのではなく「一晩かけて」が基本です。そのため、就寝前に飲んでいただくことをお勧めします。多量内服をしないと改善しない場合、先日お伝えしたような漢方薬との併用など医師へ相談してみましょう。
~下剤の効果を朝食でうながす~
就寝前に飲んだ下剤が一晩かけて腸に行き渡ります。そのタイミングで「朝食をしっかり摂り、その刺激で排便へ、」このパターン作りが大切です。はじめは朝に便意を感じられなくても同じパターンを繰り返していくことで身体の反応が徐々にかわりますよ
女性と便秘(3)―基礎代謝アップで改善しましょうー
便秘の改善として「食物繊維を良く摂りましょう」は皆さまの知るところですが
基礎代謝をあげることも改善にとって関係が深いのです。
基礎代謝が上がると冷えや肥満予防にもなりますね
~基礎代謝を上げる栄養~
身体に入った糖分をエネルギーに変えるには、「ミネラル」と「ビタミンB1,B2」が必要です。これらの栄養を
しっかり取ると、効率よくカロリーが消費されます。
ミネラルの中でも特に女性が不足しがちなものが「亜鉛」と「鉄」です。
~亜鉛の+α知識~
亜鉛は何に含まれているか?一般にあまり意識されない栄養素でしょう。以前もお伝えいたしました「妊活」にも恩恵の
深い栄養素です。(図☆;著書「妊活バイブル」より)
女性と便秘(2)-漢方薬による便秘改善-
女性の悩みに多い便秘、理由を考えた時、その人それぞれの体質や生活習慣の違いがあります。私は一般的な便秘薬のほかに「漢方薬」を好んで処方しています。
~便秘の原因と体質を考えた処方例~
・冷え性で血行不良 トウキシャクヤクサン
・肥満やメタボ ボウフウツウショウサン
・むくみがち ボウイオウギトウ
・ガスがたまりやすい ダイケンチュウトウ など、、
便秘とそれに伴う症状を合わせて体質改善が期待できますよ
~漢方薬のメリット・デメリット~
メリットは副作用の心配が少なく、妊娠中も使えます。また保険が適応されます。
便秘改善目的の処方ではデメリットはほとんどないと思いますが、体質にあったものを選ぶことが肝心ですので、医師の診察をうけて処方してもらうことをお勧めします。
女性と便秘(1)-なぜ女性は便秘しやすい?-
毎日の診療で、便秘の悩みをおっしゃる方が少なくありません。世代によらず、多くの女性にとって便秘は日常の悩みの一つとなっています。
~女性と便秘の関係~
女性はホルモンバランスで便秘しやすくなります。排卵後や妊娠中に増加する「黄体ホルモン」「プロゲステロン」は身体に水を貯める作用があり、腸内の水分が不足し便秘の傾向となります。ホルモンバランス以外でも「冷え」「ダイエット」「運動不足」などが原因となります。
~腸内環境~
便秘は簡単にいうと「腐ったものを腸内にためている」ことです。腸内に悪玉菌が増えて有害物質がたまり、身体へ様々な悪影響を及ぼします。
基本的に毎日排便無い場合は「便秘」と考えましょう。
~食べないダイエットに注意!~
体重を落とすことを重視するあまり、食物繊維不足や水分不足で便秘状態が続くと代謝が下がり「太りやすい身体」になってしまいます。肌荒れの原因にもなります。ダイエット中で便秘をしているのなら、注意してくださいね
妊活の心得(4)-鉄の摂取について-
女性は男性に比べて鉄分が不足しがちです。「月経」により鉄分が消費されるからです。貧血は、頭痛・めまい・立ちく
らみ などの自覚症状のほか、体中の酸欠が続き顔色がくすみ、老化を早めます。
~妊娠準備の鉄分摂取とは~
「妊娠したら月経が休止するため、鉄不足が解消される」と思いがちですが‘赤ちゃんと自分の鉄分が必要’に
なるためより不足します。また妊娠中は自然現象として血液が薄くなるためさらに貧血に注意が必要です。
~1日の鉄摂取量~
妊娠中の1日摂取推奨は約20mg、妊娠前の約倍になります。(グラフ参照☆)あさり、レバー、などに多く含ま
れています。
~自覚症状のない貧血に注意!~
慢性的な鉄分不足などでゆっくり貧血が進行していると自覚症状が出ない方もいらっしゃいます。妊娠を考える
とき、一度貧血がないか婦人科で相談するのもいいでしょう。子宮筋腫や子宮内膜症など貧血になりやすい病気のチェックもでき
ますよ
妊活の心得(3)-カルシウムの摂取について-
日本女性の摂取栄養素の中でカルシウムと鉄はとくに不足しています。
カルシウムは骨や歯の形成に欠かせない栄養素です。カルシウム不足は「イライラ」などメンタルにも影響するので注意が必要です。
~妊娠準備にカルシウムと骨密度を蓄える~
赤ちゃんに必要なカルシウムはすべてお母さんの骨からとられます。カルシウム摂取だけでなく、軽い運動習慣により骨づくりもしておきましょう。妊娠する前から蓄えでおくことが大切です。
~1日のカルシウム摂取量~
妊娠中の1日摂取推奨は600~700mg(一つの食材で摂れる目安☆)
食品で摂ることが難しい場合はサプリメントで補っても可です。
~母乳で喪失するカルシウム~
母乳で育てる場合、1日約210mgのカルシウムが喪失するとされています。出産後に骨粗しょう症となり骨折してしまったというケースもあります。出産後も授乳中は特に意識して600~700にプラス200mg、カルシウムを摂りましょう
妊活の心得(2)-葉酸の摂取について-
赤ちゃんの脳の形成に大切な栄養素として「葉酸」はよく知られていますね。
では葉酸の摂取はどのようにしたらよいのでしょうか、また実際に葉酸はどのような役割を果たしているのでしょう。
~葉酸摂取のタイミング~
赤ちゃんの脳は妊娠6週にはほとんど出来上がっています。生理が遅れたな、と思ったころには出来上がっているのです。そのため、妊娠する前の「子どもが欲しい!」と思った段階で積極的に摂取することをお勧めします。
~多くの妊婦で葉酸摂取が不足~
妊娠初期の女性の多くが葉酸不足といわれています。(☆グラフ)
1日摂取推奨は400μg(一つの食材に例えたら☆☆)、ただし1mg以上の過剰摂取は注意が必要です。
~脳の形成以外の役割~
最近の研究報告で、葉酸の胎児に対する遺伝子発現への影響、血圧への影響などが明らかとされてきています。上手に摂取しておきたい大事な栄養素ですね
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